車のボディケアに挑戦してみたいけれど、どんなコンパウンドやバフを使えばいいのか悩んでいる方
は多いでしょう。
愛車のボディを美しく磨きたいのに、思うような結果が出ないと悩んでいる方は少なくありません。
実はその原因の多くは、コンパウンドとバフの「正しい組み合わせ」を知らないことにあります。
特に初心者にとって、道具選びは重要なポイントです。
プロの現場でも使われている定番アイテムの中には、初心者でも扱いやすく、失敗のリスクが極めて
低いものがあります。
そこで今回は、初心者でも使いやすく、しかも効果抜群のコンパウンドとバフ、誰でも簡単にできる
磨き方のコツをご紹介します。
これさえ押さえておけば、もう二度と「失敗した…」と落ち込むことはありません。
今すぐ試してみたくなる、そんな魅力をたっぷりお届けします!
6.コンパウンドの種類と選び方
コンパウンドは、車の塗装面の傷を目立たなくし、ツヤを出すための研磨剤です。
種類が豊富なため、目的や傷の状態に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。
ここでは、コンパウンドの種類、特徴、選び方について詳しく説明します。
◆粒度の違いと選び方
コンパウンドには様々な種類があり、含まれる研磨粒子の大きさ(粒度)によって「粗目」「中目」
「細目」「極細目」「超微粒子(ツヤ出し)」などに分類されます。
粒度が大きいほど研磨力が強く、小さいほど繊細な仕上がりになります。
車のクリア層(塗装表面)は30~50μm(0.03~0.05㎜)と非常に薄いので、粒度の選び方が重要
です。
削りすぎて塗装を傷めるリスクが高いのでコンパウンドの選定も重要なんです。
※粒子の大きさについてはあくまでも目安で、詳しくはお使いのコンパウンドメーカーにお問い
合わせください。
・粗目(約15~6µm):深い傷や広範囲のダメージに使いますが、研磨力が強すぎるため、
通常の車の研磨には使用しません。
クリア層を傷つけてしまうリスクがあるからです。
・中目(約6~4µm):こちらも粗目と同様、通常の車の研磨にはあまり使用しません。
・細目(約4~3µm):塗装肌の調整や浅い傷の除去に適しています。
ウールバフなど硬めのバフと組み合わせて使用することが多いです。
・極細目(約3~2µm):仕上げ磨きや、軽い傷、ツヤ出し、くすみ取りに最適です。
・超微粒子(約2μm以下):ほとんど研磨力はなく、主に最終仕上げ用です。
0.何μm程度の超微粒子は、最終仕上げに使用し、最高のツヤを
引き出します。
・鏡面仕上げ(0.3μm以下):ほとんど研磨力はなく、超微粒子で仕上げた後に更なるツヤを
求める場合に使います。
特にガラスコーティングの下地処理(鏡面仕上げ)に向いてい
ます。
※粒度の大きさは研磨材の粒度を示す単位(グリッド)からAIでµm(マイクロメートル)変換しても
らった値です。
ただし、メーカーや研磨材の種類によって異なる場合があります。
(参考)
・粗目:グリッド 1,000~3,000 、粒度 約15~6 µm
・中目:グリッド 3,000~5,000、粒度 約6~4 µm
・細目:グリッド 5,000~7,000、粒度 約4~3 µm
・極細目:グリッド 7,000~9,000、粒度 約3~2 µm
・超微粒子:グリッド 9,000以上、粒度 約2 µm以下
◆目的別コンパウンドの選び方
用途に応じて適切なコンパウンドを選ぶことが重要です。
・深い傷:4~3µm程度の細目
・軽い傷:3~2µm程度の極細目
・仕上げ:約2μm以下の超微粒子
◆ペーストタイプとリキッドタイプの違い
コンパウンドには、ペーストタイプと液体(リキッド)タイプがあります。
《ペーストタイプ》
比較的粒子が大きく、流れにくいのでボディサイドや細かい部分の手磨きに最適です。
流れ落ちにくいため縦面の作業に向いていますが、伸びが悪く広範囲の磨きには不向きです。
《液体(リキッド)タイプ》

伸びが良く、ボンネットやルーフなど水平面や広い面を均一に磨くのに適しています。
ただし、暑い日は乾きやすいので注意が必要です。
◆水性・油性コンパウンドの違い
コンパウンドには水性(水溶性)タイプと油性タイプがあり、それぞれ特徴があります。
《水性タイプ》
研磨力が高く、効率的に作業できます。
塗装面を侵しにくく、ギラつきのない仕上がりが得られます。
傷を埋める成分が少なく、研磨本来のツヤが得られるのでツヤが長持ちします。
バフや車体の汚れも落としやすいですが、磨き残しが目立ちやすく、研磨カスが出やすい傾向があ
ります。
《油性タイプ》
削る力は控えめで初心者でも扱いやすいのが特徴。
傷の周囲を削るだけでなく、凹んだ部分を埋める成分が含まれています。
短時間で仕上げたい場合に便利ですが、時間が経つと傷が再び現れることもあるため、仕上げには
注意が必要です。
また、傷がしっかり研磨されているか確認するには「脱脂」という手間がかかります。
◆コンパウンドで除去できる汚れ
コンパウンドは傷の修復だけでなく、頑固な汚れの除去にも効果的です。
《イオンデポジット:雨ジミ》
水滴が乾いてできる白い輪状の汚れ。
放置すると硬化し除去が困難になるため、コンパウンドでの研磨が有効です。
軽度の固着は「S remover」をお勧めします。
《ウォータースポット》
雨粒がレンズ効果で塗装を焼いたり、酸性雨で酸化した跡。塗装表面に微細な凹みができます。
軽度ならコンパウンドで対応できます。
《異塗装色の付着》
他車との接触で付着した塗装も、自車の塗装が削れていなければ、コンパウンドで除去可能です。
◆バフとコンパウンドの組み合わせ
コンパウンドの効果を最大限に引き出すためには、適切なバフ(研磨パッド)を選ぶことが
重要です。
バフにはウールとスポンジがあり、組み合わせで仕上がりが変わります。
《ウールバフ》

研削力に優れ、短時間で作業を完了させたい場合に最適です。
大きな傷を消す初期研磨や深い傷の除去に適しています。
ペーパー傷を素早く消すにはバフを傾けて磨くのがおすすめです。
ただし、バフ目が入りやすいので、仕上げにはスポンジバフを使用しましょう。
毛足の短いウールバフは硬い塗膜や初期研磨に、毛足の長いウールバフは高い仕上がりを
目指す仕上げや柔らかい塗膜の研磨に適しています。
《スポンジバフ》

浅い傷やオーロラマークの除去、最終仕上げに向いています。
・ハードスポンジバフはウールバフほど研磨力は高くありませんが、バフ目が比較的浅い
ため、ウールバフで磨いた後の仕上げに適しています。
・ソフトスポンジバフは研磨力が弱く、柔らかい塗膜や樹脂バンパー、最終仕上げに適し
ています。
極細目や超微粒子のコンパウンドと組み合わせて使用することで、美しいツヤを出すこと
ができます。
《バフの使い分け》
ペーパー傷や深いバフ目はウールバフで除去し、仕上げはスポンジバフと極細コンパウン
ドでツヤを出します。
バフの移動速度を落とし、同じ場所を丁寧に磨くことで効率よく傷を消せます。
7.コンパウンドの正しい使い方と磨き方
◆コンパウンドの付け方
・コンパウンドは、直接パネルに付けるのではなく、バフに適量を乗せてから塗装面になじ
ませていきます。
パネルに直接付けると垂れやすく、量の調整が難しいからです。
また、付けすぎると飛散しやすく、少なすぎると研磨力が落ちるため、適度な量を保つこ
とがポイントです。
・バフに適量をつけ、塗装面に軽く当ててスイッチをオンオフしながら馴染ませてから磨き
始めましょう。
・コンパウンドの量が多すぎると飛び散ったり、超微粒子の場合なかなかすっきりとしませ
ん。
また、少なすぎるとバフが乾きやすく傷が入りやすくなります。
適度な量を心がけましょう。
◆車磨きのポイントと注意点
・どんなに細かい粒子でも、コンパウンドは塗装やクリア層を削るわけですから、磨きすぎると塗
装が薄くなり、最悪の場合下地が出てしまうこともあります。
・微細な粒子でも新たな傷が入る可能性があるため、傷のない部分には極力磨かないようにしまし
ょう。
・バフとコンパウンドの相性や組み合わせは、実際の仕上がりを見て選ぶようにしましょう。
・作業前にはバフがきれいか確認し、汚れたバフはクリーニングまたは交換します。
コンパウンドはよく振ってから使用し、塗装面の汚れも磨く前に落としましょう。
《作業前の確認》
・バフがきれいか確認し、汚れたバフはクリーニングをするか、きれいなバフに取り換えま
す。
・コンパウンドは必ずよく振りながら使用します。
・塗装面の汚れをしっかりと落とします。
汚れがあるとバフが汚れたり、深い傷を入れてしまう場合があります。
《途中補充もしくは霧吹きのタイミング》
・バフの摩擦音が変わってきた場合
・研磨力が落ちてきたと感じた場合
・バフが乾いてきた場合
《失敗を防ぐポイント》
・一度に広い範囲を磨くのではなく、40~50㎠ずつ磨いていきます。
・乾いた状態で磨かない。
・力加減は常に意識する。
・作業面の温度にも注意しながら磨く。
《その他の注意事項》
・作業中は、適切な保護具(マスク、ゴーグルなど)を着用しましょう。
・不安な場合は、プロの磨き屋さんに相談することをおすすめします。
これらのポイントを押さえれば、車磨きが初めての方でも安心してコンパウンドを使いこなせま
す。
どの種類を使うか、どんなバフと組み合わせるかを意識しながら磨くことで、ワンランク上の仕上
がりが可能です。
ぜひ挑戦してみてください!

次回で最終回となります。
「ポリッシャーとバフのメンテナンス法と磨き」についてご紹介します。
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