「せっかく車を磨いたのに、逆に傷が増えてしまった…」そんな悲しい経験、ありませんか?
実は、その傷の多くは、磨くときに生じる摩擦熱(研磨熱)、そして力の入れすぎ、不適切な道具選びが原因です。
力任せに磨いたり、同じ箇所を磨き続けたりすることで、塗装面が熱を持ち、微細な傷が入ってしまうのです。
なぜなら、磨いているうちに発生する熱が、塗装面を柔らかくしてしまい、知らず知らずのうちに傷をつけてしまう——。
でも、もう心配はいりません。
愛車を美しく保ちたいのに、磨くたびに傷が増えてしまうのでは本末転倒ですよね。
でも、ちょっとしたテクニックと知識があれば、「傷を防ぐ磨き方」は決して難しいものではありません。
この記事では、車の磨きで傷が入る原因と正しい道具や適切なコンパウンドの選び方から、ポリッシャーの使い方、そして仕上げのコツまで、丁寧に解説していきますので、ご安心ください。
また、弊社が考案した熱を抑えた研磨法(抑熱研磨法)のテクニックを、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。
これを読めば初心者でも「これならできる!」と自信を持って愛車のケアに取り組めるようになるでしょう。
ぜひ、あなたも今日から”傷を作らない磨き方”を始めてみませんか?
3.磨き傷が入る原因と予防法
磨く工程で最も避けたいのが「傷」です。
まず理解しておきたいのは、磨き傷の原因です。
磨き傷の発生を防ぎ、理想的な仕上がりを実現するためには、まず基本的な原理を理解すること
が重要です。
研磨作業において最も注意すべきポイントは、「研磨熱の管理」です。
塗装面は約40℃後半から軟化し始めるため、熱の発生をコントロールすることが磨き傷防止の鍵
となります。
例えば、バフによる研磨時間が長すぎると塗装に過度な負担をかけ、傷が入りやすくなります。
また、回転速度が速すぎると、研磨熱が上昇し、塗装が軟化してしまうことも原因の一つです。
コンパウンドの選び方にも注意が必要です。
粗目の粒子のコンパウンドは深い傷が入りやすいので避け、なるべく小さめの切削性のよいもの
を選びましょう。
さらに、汚れたバフを使うと、それ自体が凝固して研磨剤の役割を果たし、余計な傷を生むこと
に。
この節では、磨き傷の原因とその予防法について、詳しく解説していきます。
◆磨き傷の原因を徹底解剖!
磨き傷は、特定の要因が重なり合った結果発生することが多いです。
以下に具体的な原因を挙げてみましょう。
・過度な研磨時間:同じ場所を磨き続けると摩擦熱が生じ、塗装にダメージが及びやすくなり
ます。
・回転速度の速さ:速すぎる回転により研磨熱が急激に上がると、塗装が軟化しやすくなりま
す。
・コンパウンド量の不足:十分なコンパウンドがないと、バフと塗装面の摩擦が増え、傷がつ
きやすくなります。
・粗い粒子のコンパウンドの使用:研磨力が強い分、深い傷をつけてしまうリスクがありま
す。
・汚れたバフの使用:汚れが凝固し研磨剤のように作用するため、深い傷が入る可能性が高く
なるので、バフは常に清潔な状態を保つことが重要です。
・不完全な塗装硬化:塗装が完全に硬化していない(焼き付け不良)と、磨く際に傷が入りや
すくなります。
◆効果的な磨き方とコツ
まずは、仕上げ段階に進む前の初期研磨からしっかりと取り組みましょう。
磨き傷を防ぎ、完璧な仕上がりを実現するには、いくつかのポイントに気を配る必要がありま
す。
①適切なコンパウンド選び
・状態に合ったものを選ぶことが肝心です。
②コンパウンドの適量使用
・使いすぎや不足に注意して適量を守りましょう。
③ポリッシャーの適切な操作
・研磨熱の出にくいタイプを選択(「京セラRSE-1250」がおススメです。
・ポリッシャーの自重で磨くイメージでゆっくり移動させます。

上図のようにポリッシャーをゆっくりと移動させることで回転数が増えるため効率の良い
磨きができます。
・シングルポリッシャーの場合では、回転速度は1000回転前後で磨きましょう。
・一箇所に集中せず、まんべんなく磨くようにします。
④バフの種類と使い分け
・ウールバフとスポンジバフを場面に応じて使い分けましょう。
・毛先が8~12mmのウールバフや硬めのスポンジバフを使って、塗膜に負担をかけないよう
に心がけます。
・サイズは小さめのバフの方がコントロールしやすくなります。
⑤高品質なコンパウンドの使用:乾燥しにくく、つや出し剤やワックス分を含まないものを選
ぶと良いです。
・このとき、コンパウンドの量は少なすぎず、多すぎず、適度な量を保ちながら進めましょ
う。
・適時に状態を確認し、必要なら補充もしくは霧吹きで少し湿らせながら磨くと、仕上がり
が向上します。
◆研磨熱の上昇を抑えるためのポイント
①集中研磨を避ける
・一か所にポリッシャーを当て続けると熱が集中します。
・常にポリッシャーを一定速度で移動させながら磨いていきましょう。
②十分なコンパウンド量
・摩擦熱を防ぐため、コンパウンドの量を意識しましょう。
③適正な圧力
・ポリッシャーの自重程度で磨くことが重要です。
④清潔なバフの使用
・常にきれいなバフを心がけましょう。
◆仕上げ工程のポイント
・周辺部分も含めて面として磨きます。
・徐々に力を抜き、移動速度は仕上げ時にやや早めにします。
・必要に応じてコンパウンドを補充するか、霧吹きで温度管理をするのがコツです。
・最後はオービタルサンダポリッシャーのようなトルクが弱い、熱の出にくいポリッシャーで全
体を整えます。
特に重要なのは、作業中の温度管理です。
手で触って温かい程度(約40℃)を目安に、決して熱くならないよう注意が必要です。
また、塗装の硬さによってアプローチを変えることも重要です。
◆柔らかい塗装の場合
・スポンジバフでの全工程対応が可能です。(この場合、熱の出にくいトルクの弱いポリッシ
ャーと水性コンパウンドの組み合わせがおススメです。)
・研磨熱には特に注意
◆硬い塗装の場合
・ウールバフで削ってスポンジバフで仕上げる。
・短めのウールバフ(8~10mm程度)を使用します。
◆最適な組み合わせ
美しい仕上がりを求めるなら、以下の組み合わせが有効です。
・研磨熱が出にくいポリッシャー
・上記のポリッシャーでも切削力のある水性コンパウンド
・初期や中間研磨では毛先が10㎜前後の長さのウールバフと仕上げ時には柔らかい厚めのスポ
ンジバフ
これらを上手に組み合わせ、まずは小さな範囲でのテストから始めるのがおすすめです。
徐々に範囲を広げていく中で、自分に合った最適な方法を見つけていきましょう。
経験を積みながら、自分なりの最適な方法を見つけていくことが、確実な技術向上につながり
ます。
◆プロのような仕上がりのために
プロフェッショナルな仕上がりを目指すなら、「湿度」にも気を配りましょう。
特に仕上げ磨きでは、研磨熱を避けるために定期的にコンパウンドを補充するか、バフを霧吹
きで少し湿らせながら磨くのが効果的です。
研磨面が熱くなりすぎないよう、常に適温を保ちながら作業を進め、表面の温度は40℃を超え
ないように注意します。
最終仕上げでは、柔らかい厚めのスポンジバフを使用し、磨き傷が戻らないようじっくりと時
間をかけます。
技術と道具を適切に組み合わせれば、磨かれた面はまるで新しいように輝きを放ちます。
磨くことは一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本を押さえたうえで適切な道具とテクニックを
使えば、誰でも見事な仕上がりを実現できます。
本記事を参考に、ぜひ磨きのプロフェッショナルを目指してみてください。

次回は、「失敗しない車磨きの基本から応用まで、誰でも実践できるテクニック」をご紹介します。
初心者でもプロのような仕上がりを目指せる磨きの基本と失敗しないコツ、傷の見極め方や中古車の磨き方まで徹底解説します。
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