「車をピカピカに磨く」と聞いて、あなたは何を想像しますか?
実は、これまでのプロの磨きの世界には、ある「大きな弱点」がありました。
それは、磨くときに出る「熱」です。
多くの人は知りませんが、実はこれまでの磨き方は、車をキレイにする一方で、車を少しずつ傷
めていたのかもしれません。
1.なぜ、車を磨くと「傷だらけ」になってしまうのか?
『月曜朝の絶望と、隠された真実』
休日の午後、あなたはガレージで愛車と向き合っていました。
手に入れたばかりのポリッシャーを握り、お気に入りのコンパウンドを乗せる。
「今日こそ、あの小傷を消して新車以上の輝きを取り戻してやる」
その一心で、数時間。
鏡のように景色を映し出すボンネットを見て、心地よい疲れと共に作業を終えました。

しかし、本当の恐怖は「翌朝」に待っていました。
月曜日の澄み渡った朝、出勤しようと車に近づいたあなたの目に飛び込んできたのは、昨
日見た「鏡」ではありませんでした。

朝日に照らされたボディには、まるで巨大なクモの巣のようなギラついた「オーロラマー
ク」がびっしりと浮き出ていたのです。
「えっ、あんなに一生懸命磨いたのに、逆に傷だらけ…?」
頭が真っ白になります。
コンパウンドを足して、もっと回転を上げて、力一杯押し付けて磨いたはず。
それなのに、磨けば磨くほど、深い泥沼にハマっていくような感覚。
実は、あなたが愛車を思ってかけたその「情熱」と、ポリッシャーから発せられた「摩擦
熱」こそが、塗装をグニャリと柔らかくし、傷を深く刻み込んでいた真犯人だったのです。
車を一生懸命磨いたのに、翌朝太陽の光で見てみると「えっ、傷だらけ…」という経験は
ありませんか。
黒い車やスクラッチシールドの車は、「できれば触りたくない」と感じている方も多いはず
です。
実は、こうしたトラブルのほとんどは「磨いているときの熱」が原因です。
この熱のことを、ここでは「研磨熱」と呼びます。
熱を抑えれば、次のようなメリットがあります。
・バフ傷などの磨き傷が出にくくなる
・黒や濃い色の車、スクラッチシールドも磨きやすくなる
・焼き付きや削りすぎを心配せずに作業しやすくなる
・樹脂パネルも、変形させにくく安心して磨ける
2.なぜ「熱」が車の天敵なの?
車を磨いていて、こんなトラブルに悩んだことはありませんか。
・バフ傷(磨き傷)が消えない
・いつまでも「すっきり」仕上がらない
・白ボケする
・焼き付く
・カラミが出る
・過研磨で塗装を薄くしすぎる
この中でも、一番やっかいなのはやはり「バフ傷」です。
特にシングルポリッシャーで磨くときに起こりやすくなります。
理科の実験を思い出してみてください。
プラスチックやゴムを熱すると、柔らかくなって溶けそうになりますよね?
車の塗装も同じです。
これまでの磨き方は、機械を高速で回転させ、コンパウンド(研磨剤)を力いっぱい押し
付けて磨いていました。
すると、摩擦で塗装が「火傷(やけど)」をするほど熱くなります。
・塗装が柔らかくなる:柔らかくなった塗装は、磨くそばから傷が入りやすくなります。
・深追いのワナ:傷を消そうとして熱を出しすぎると、塗装の寿命を縮めてしまうのです。
いわば、「無理やりお肌をこすって、その場しのぎでキレイに見せている」状態だったので
す。
塗料メーカーの話では、「塗装はだいたい50度前後から柔らかくなり始める」と言われてい
ます。
実際にシングルポリッシャーで数秒磨いただけで、その部分が80度近くまで上がったサーモグ
ラフィーもあります。

シングルやギアアクションポリッシャーは、トルクがとても強く、押し付けても回転が落ちま
せん。
そのため、時間とともにどんどん研磨熱が上がり、塗装は柔らかくなり、削れやすく・傷も入り
やすくなってしまいます。
さらに、次のようなこともトラブルの原因になります。
①バフに研磨カスや汚れがたまる
②そのカスが熱で固まり、バフにこびりつく
③その状態で磨き続けると、深い傷やカラミ、焼き付きが発生する
白ボケも、柔らかくなった塗装に研磨カスが食い込んで起こります。
劣化したコーティングや塗膜が残っている場合も、凹み部分にカスが入り込んで白っぽく見え
ます。
3.過研磨と熱によるダメージ
磨きすぎ(過研磨)になると、再塗装が必要になったり、パネルが歪んだりすることがあり
ます。
特に樹脂パネルは、鉄板よりも熱に弱く、変形しやすい素材です。
塗装は熱がかかると膨らみ、冷えると縮みます。
一度大きく伸び縮みしたものが、完全に「元どおり」とは限りません。
それが見た目や仕上がりにも影響してしまうのです。
だからこそ、「そもそも塗装に余計な熱をかけない」という考え方が大切になります。
4.濃色車やスクラッチシールドが「難しい」と言われる理由
◆濃い色の車は、傷が目立ちやすいだけ
黒や202ブラックなどの濃色車は、メタリックやパールが入っていない完全なソリッドカ
ラーのため硬さは「柔らかくて磨きにくい」というより「やや柔らかめに感じる」。
また、黒の深みと光沢が非常に強いぶん、洗車傷・バフ目・水ジミなどの「表面の荒れ」
が他色よりはっきり見えてしまいます。
パールやメタリックのような「キラキラ成分」がないので、傷をぼかしてくれるものがなく、
細かいスクラッチでもクッキリ見えます。
白やシルバーでも、光を当てれば傷はありますが、普段は目立ちにくいだけです。
よってまとめると、
・濃色車:傷がとても目立つ
・淡色車:傷があっても目立ちにくい
・磨く場所(クリア層)はどの色でも基本的に同じ
つまり、色によってやることが大きく変わるわけではなく、「いかに傷を目立たせない仕上
げにするか」が大事なのです。
5.スクラッチシールド(セルフリストアリングコート)ってどんな塗装?
スクラッチシールドなどの「自己修復性耐擦り傷塗装」は、表面のクリア層が少し特殊です。
硬くて強いだけでなく、ゴムのような柔らかさも持たせてあり、細かい拭き傷などが時間
とともに戻るようになっています。
ただし、深い傷や塗装がめくれるような傷は自然には戻りません。
その場合は、やはり研磨(磨き)が必要になります。
調べたデータでは、例えばこんな性質があると言われています。
・20〜40度くらいの室温なら、約50分ほどで浅い傷が戻る
・80度くらいに温めると、数分で傷が戻る

ここから分かるのは、「温度」がこの塗装に大きく影響するということです。
だから、スクラッチシールドを磨くときは次がポイントになります。
・よく削れるペーパーやコンパウンドを使う
・深い傷を入れない
・何より「熱を上げすぎない」
この意味でも、研磨熱が上がりやすいシングルポリッシャーは相性が良くありません。
6.トラブルを避ける一番シンプルな方法
ここまでの話を一言でまとめると、答えはとてもシンプルです。
・研磨熱をできるだけ抑えて磨く
これだけで、多くのトラブルは減らせます。
・熱を抑えれば、塗装は柔らかくなりすぎない
・柔らかくなりすぎなければ、深い傷が入りにくい
・水性コンパウンドなら、バフの洗浄もしやすく、カラミも起きにくい
抑熱研磨法では、初期研磨から仕上げまで、この考え方を一貫して使います。
7.革命的な「抑熱研磨(よくねつけんま)」とは?
そこで生まれたのが「抑熱研磨法」という魔法のような技術です。
抑熱研磨法は、2014年に弊社独自で見出した研磨法で、研磨熱をできるだけ出さないよう
に工夫した、新しい磨き方です。
研磨熱の出にくい推奨サンダポリッシャーと、このシステムのために開発した専用の水性コ
ンパウンドと専用バフを使って磨く方法です。
「熱を出さないなら、キレイにならないんじゃない?」と思うかもしれません。
いいえ、逆なんです。
・塗装を硬いまま保つ:熱くならないので、塗装が柔らかくなりません。
硬い状態のまま磨くから、鏡のように真っ直ぐで深い輝きが生まれます。
・削りすぎない優しさ:塗装は再塗装以外、一度削ったら二度と戻りません。
抑熱研磨は、塗装の厚みをしっかり残しながら、表面の凸凹だけを整えま
す。
例えるなら、「熱いアイロンで無理やりシワを伸ばすのではなく、極上のエステで肌そのも
のを若返らせる」ようなイメージです。
こちらの記事も参考にしてください。(研磨熱について、塗料メーカーさんとのやり取りも
掲載しています)
「バフ目(磨き傷)のない車磨きを可能にする「3つのポイント」とは?」
8.抑熱研磨法で使う道具の考え方
抑熱研磨法では、シングルポリッシャーは使いません。
代わりに、次のような特徴を持つポリッシャーを推奨しています。
◆例:RYOBI SRE-1250
・押し付けると回転が止まる(無理なトルクがかからない)
・偏芯(ゆれ幅)が2.5mmと小さい
・回転数を調整できる
・初心者でも扱いやすい
このようなサンダ・ダブルアクションタイプの「揺れる動き」で、摩擦熱を抑えながら磨
きます。

さらに、この磨き方に合わせた専用の水性コンパウンドとバフを使うことで、効率よく、
かつ傷を増やさずに作業できるように設計されています。
9.水性コンパウンドを使う意味
抑熱研磨法で使うコンパウンドは、水性です。
・潤滑成分を極限まで少なくすることにより、熱に頼らず効率よく磨ける。
・傷を「埋めて隠す」のではなく、研磨そのもので傷を小さくして目立たなくする
・洗車や時間の経過で「ごまかしのツヤ」が消えても、磨き本来の光沢が残る
・脱脂しても「急に拭き傷だらけ」ということが起きにくい
つまり、「本当に削って整えたツヤ」が残るので、光沢が長持ちしやすいのです。
10.従来の磨き方との違い
今までよくあるやり方は、次のような流れでした。
・初期研磨から仕上げまでシングルポリッシャーを使用
・最後の仕上げだけギアやダブルアクションでバフ傷を消す
しかし、この方法にはデメリットも多いです。
・工程が多く、時間がかかる
・使うポリッシャー・バフ・コンパウンドの種類が多い
・シングルを使った時点で、すでに研磨熱によるダメージが発生している
一方、抑熱研磨法では、最初から最後まで「熱を抑えた磨き」を前提に組まれています。
・1種類のポリッシャー
・1~2種類のバフとコンパウンド
・1~2工程で、高いツヤと仕上がりを狙う
結果として、
「道具の数も少なくて済み、作業時間も短く、仕上がりの質も高い」
という、費用対効果の高い研磨法になっています。
11.この技術が、あなたの愛車にもたらす3つの約束
①「本物の輝き」がずっと続く
熱でごまかして磨いた車は、時間が経つとまた曇ってきます。
抑熱研磨で磨き上げた車は、塗装そのものが整っているため、驚くほど長くその輝きを
維持します。
②塗装が長持ちする
塗装を無駄に削らないので、5年後、10年後の愛車の価値が変わります。
大切な車をずっと大切に乗りたい人にこそ、選んでほしい技術です。
③どんな車も「新車以上」へ
新車の塗装は意外とデリケート。
その繊細な肌を最小限傷つけず、本来持っているポテンシャルを120%引き出すことが
できます。
12.結論:プロが最後にたどり着く答え。
⇒仕上がりで評価されるなら、「楽にきれい」がいちばん。
お客様は、作業工程の多さではなく、最終的な「見た目」で仕上がりを判断します。
工程が何ステップあったか、どのポリッシャーを使ったかは見ていません。
それなら、
「短い時間で、少ない道具で、楽にきれいに仕上げる」
方法を選んだ方が、現場にとってもお客様にとってもプラスです。
抑熱研磨法は、そのために「熱を抑える」という一点にこだわって開発された研磨法です。
どんな塗装でも、高いレベルの仕上がりを目指したい方にとって、強力な武器になるはず
です。
これまでの「力で磨く」時代は終わりました。
これからは、「優しさと科学で磨く」時代です。
愛車を撫でたとき、その滑らかさに驚き、景色が鏡のように映り込むボディを見てため息をつく。
そんな贅沢な体験を、ぜひあなたも手に入れてください。
愛車の美しさを守る。それが「抑熱研磨」という選択です。

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