研磨熱による塗装の軟化
●塗装が柔らかくなる原因
バフ傷のそのほかの原因の一つとして、研磨熱による塗装の軟化が挙げられます。
研磨作業を行う際、ポリッシャーで研磨剤を使用して表面を磨くと、塗装の表面に摩擦熱(研磨
熱)が発生します。
この熱によって塗装が柔らかくなることがあります。(塗料メーカーさんの話では、約40~50℃
位から軟化が始まるとのことでした)
研磨熱による塗装の軟化は、研磨剤の乾燥や磨く時の力加減、特定個所を集中して磨くことによ
って、摩擦熱(研磨熱)熱が集中し、塗装が軟化しやすくなります。
特に、高速回転するシングルポリッシャーを使用する場合は研磨熱が発生しやすいので注意が必
要です。
研磨熱による塗装の軟化は、表面を削りやすいのですが、新たな傷も入りやすくなり、バフ傷が
生じる原因となります。
軟らかくなった塗膜は冷めて再び固まりますが、均一な表面が再現されず、バフ傷となってしま
います。
●研磨熱を出さない磨きをするために
研磨作業を行う際には、研磨剤の適切な選択や力加減、研磨時間の調整が重要です。
いきなり全体を磨こうとせずに、目立たないところで研磨剤とバフの組み合わせや、磨く方法を
確かめてから全体を磨くようにしましょう。
ポリッシャーの使用に際しても、回転数の調整やバフの適切な使用方法を確認することが必要で
す。(研磨熱がほとんど発生しないダブル、もしくはサンダポリッシャーがお勧めです)
また、先ほどの②で触れた「常にきれいなバフを使う」ことも重要です。
汚れたバフで磨き続けることは、きれいなバフよりも研磨熱が高くなりやすくなります。
なぜならば、バフの固着物は、磨きの際に塗装表面と接触する際に摩擦を増加させます。
摩擦が増加すると、それに伴って摩擦熱も増加します。
一方、きれいなバフを使用すると、汚れたバフと比べて表面が滑らかであるため摩擦が抑えられ
ます。
その結果、生成される摩擦熱も抑えられるわけです。
これらの対策を講じることで、研磨熱による塗装の軟化を防ぎ、バフ傷を予防することができま
す。
コメント